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6年理科「電気の利用」をmicro:bitで行う場合のポイント(教師・ICT支援員向け)

micro:bit

 教師の方、およびICT支援員の方向けに、6年理科「電気の利用」をmicro:bitで行う場合の技術的なポイントを中心にまとめさせて頂きました。

■必要な予備知識

  • 単元の理解
    • 最低限、「小学校プログラミング教育の手引」の「電気の利用」の部分は理解しておく必要があります。
    • クライマックス
      • 「電気の利用」のプログラミングのクライマックスは、多くの子供達が初めてセンサーを使って明かりの制御に成功する瞬間です。子供達が「使う側から作る側へ」大きな扉を開ける歴史的転換点になります。TFabWorksでは、この瞬間をいかに感動体験にするかが大切だと考えています。
  • micro:bitの基本的な使い方
  • 授業で使う、センサーやスイッチに関する知識
    • micro:bit本体だけでも授業展開をする方法がありますが、一般的には、外付けの人感センサーやプログラムで制御出来るスイッチを使います。
    • 各メーカーから様々なタイプが出ています。ICT支援員の方は事前にどんな種類があるのか把握しておくと良いと思います。

■環境チェック

  • 端末種別・ブラウザ種別
    • Windows
      • Chrome
        • ブラウザのWebUSB機能を使った「デバイスを接続する」を使う方法がお勧めです。授業のはじめに接続操作を行う事により、後はダウンロードボタンをクリックするだけで、簡単にmicro:bitに書き込みが行えます。なおこの機能を使うにはmicro:bit本体のfirmwareが0249以降である必要があります。firmwareの確認方法、アップデート方法はこちら
      • Edge
        • Windows Updateを行ってる学校であれば、2020年6月以降はChromium版Edgeに変わっていると思うのですが、地域によってはWindows Updateをブロックしている事があります。バージョンが古いままの場合は、IEと同様、「ダウンロード」を行う際は、ドラッグ&ドロップが不要な「名前をつけて保存」を使う方法がお勧めです。
        • Chromium版Edgeの場合
          • 上記Chromeと同じです。
      • Internet Explore(IE)
        • 最新のMakeCode バージョンv3は、IEに対応していません。IEでMakeCodeを使う場合は、古いバージョンv2を使う必要があります。詳しい対応方法はこちら
        • 「ダウンロード」を行う際は、ドラッグ&ドロップが不要な「名前をつけて保存」を使う方法がお勧めです。
      • Windows10専用micro:bitアプリ
        • ダウンロードボタンをクリックするだけで、micro:bitに書き込みが行えるので、「名前をつけて保存」や「デバイスに接続する」等の操作は不要です。
        • 使う教材によっては、専用ブロックが提供されています。これを読み込む場合、ホーム画面にある「読み込む」を使って読み込む必要がある場合があります。
        • 「Windows10専用micro:bitアプリ=100%オフラインで使える」訳ではありません。ケースバイケースでネットワークアクセスが発生します。
    • Chromebook
      • WindowsのChromeと同じです。
    • iPad
      • アプリ「micro:bit」が最新か確認してください。2018年ぐらいで大きく変わっています。
      • PCのようにUSBケーブルでmicro:bitへの電源供給が出来ませんので電池ボックスの準備が必要となります。(LightningケーブルをUSB-Aに変換するコネクタとmicro:bitの間にUSB HUBを挟むと出来るケースもあるのですがお勧めは出来ません)
      • 2020年7月以降一度もプログラミングをしていないmicro:bitを使う場合は、授業前に最新のMakeCodeで空っぽのプログラムを一度ダウンロード(PCからでもOK)しておく事をお勧めします。2020年6月のMakeCode のアップデート(バージョン v3)で、iPadのペアリングまわりでトラブル対策機能が追加されています。
  • USB関連(Windows,Chromebookの場合)
    •  USBのコネクタ種別と空きポートの有無
      • USB-AかCかの確認と、準備してあるケーブルのコネクタ種別があっているか確認した方が良いと思います。USB-Cしか無いPCなのにUSB-Aのケーブルを用意しているケースがあります。
      • USBポートがキーボード等で既に埋まっているケースがあります。この場合はUSB HUBを用意する必要があります。
    • USBのコネクタの位置とUSBケーブルの長さ
      • 「BBC micro:bit go」に付属のUSBケーブルの長さは15cmしかありません。キーボード分離型のタブレットPCの場合、USBコネクタがディスプレイの上の方にあるケースがあり、キーボードを取り付けた状態だと、ケーブルが短い場合があります。
      • 足元にデスクトップPCがあるコンピュータ室で行う場合は、1.5m以上のUSBケーブルが必要な場合があります。
    • USBメモリ(ストレージ)への書き込みが出来るか
      • USBメモリ(ストレージ)への書き込みが禁止されている場合は、micro:bitにプログラムをダウンロードする事が出来ません。この場合は、授業の前にmicro:bitへの書き込み許可申請を教育委員会等に依頼する必要があります。
  • 手回し発電機やコンデンサーのキットの種類
    • 手回し発電機が3Vより高い電圧のタイプの場合、誤った配線をするとmicro:bitを壊す可能性があります。できれば3v以下の物が調達出来ると良いと思います。
    • メーカーによっては、コンデンサー等がワニ口クリップケーブルで挟みにくい製品があります。予め確認しておく必要があります。
  • 電池を使うかコンデンサーを使うか
    • コンデンサーを使うのが指導要領の流れ的に沿っていると言えますが、消費電力の高いモーター等の制御も行う場合は電池の方がスムーズに授業を行う事が出来ると思います。(コンデンサーに貯めた電気がなくなっているのか、プログラムが間違っているのか判らなくなる事があります)
  • スペアについて
    • 授業中、必ずトラブルは起こります。micro:bitを含め、出来ればスペアを用意してください。

■授業中のつまずきポイントの対応方法

  • IEの場合
    • MakeCodeが開けない 
      • MakeCodeが2020年6月以降は使えなくなっています。対処方法はこちら
    • ドラッグ&ドロップがうまく出来ない
      • ダウンロードフォルダーに一旦保存する方法だとドラッグ&ドロップでつまづく子供達が出てきます。「名前を付けて保存」で直接MICROBITドライブに保存する方法がおすすめです。
  • コンデンサーを使う場合
    • 想定通り動かない場合は以下のいずれかのケースがあります。
      • 手回し発電機の極性が間違っている。
      • 手回し発電機が壊れている。
      • コンデンサーが壊れている。
      • コンデンサーとLEDの極性が間違っている。
    • この時、ICT支援員の人は、テスターでサクッと調べられたら完璧です。
  • Chrome、Chromium版Edgeの場合
    • 「デバイスを接続する」で一覧に「BBC micro:bit CMSIS-DAP」が表示されない
      • PCとmicro:bitがUSBケーブルで接続されていない。
      • 既に他のタブで接続している。
      • micro:bit本体のファームウエアが0249よりも古い(アップデート方法はこちら) 。
  • iPadの場合
    • ペアリングが出来ない
      • こちらにパターン別にまとめさせていただきました。
  • 明るさセンサーとLEDで街路灯を再現したところ、LEDが点灯しっぱなしもしくは点かない
    • micro:bitの明るさセンサーはかなりばらつきがあります。 以下は、対処方法です。
      • micro:bit本体の5x5のLEDを乾いた布で拭く(表面が汚れていると点灯しっぱなしになる事があります)。
      • 他のmicro:bitに交換する(短い授業時間の中でこれが一番てっとり早い事があります)。
      • プログラム側で明るさの閾値を変更する。
  • 明らかにプログラムも配線も全てあっているのに動かない
    • スペアがあればスペア(USBケーブル・micro:bit本体・他)に交換 。それでも、すぐに原因が判らなさそうな場合は、早めに他の動いているグループと一緒にやってもらうしかないと思います。40分はあっという間なので。

■授業の小技

  • 共有PCで授業を行う場合、子供達にMakeCodeを開いてもらうと前の授業のプログラムが入っていてオチが判ってしまう
    • ブラウザのシークレットモード(もしくはゲストモード)で授業を行うと良いと思います。
  • 前の授業で子供達が作ったプログラムがmicro:bitに残るためオチが判ってしまう
    • 授業の最後、子供達に新しいプロジェクトを作成し何もせずにダウンロードを押してもらうと良いと思います。
  • 授業の時短のため、予め必要なブロックをワークスペースに置いてある状態から授業をスタートしたい
    • まず、MakeCodeで必要なブロックをワークスペースの置きます。
    • 次に、上部にある「共有」をクリックし発行されたURLをコピーします。
    • 発行したURLを授業のはじめに子供達に配布(Google classroom,Sky Menu,構内のファイルサーバ,Meet,etc)
  • 感動の体験の演出
    • 「暗い」の検証を明るさセンサーに手をかざすのではなく、暗幕のある教室であれば教室の電気を消します。
    • micro:bit用の電池ボックスがあればUSBケーブルを抜いて、実際にトイレに設置したり、廊下に数メートル置きに設置して、動作確認を行います。
  • 授業で使う写真素材

■正しい授業のための雑学

  • 「街路灯や玄関灯、トイレの自動照明もこういうプログラムで動いてるんです」という説明は間違い
    • コンピューターを搭載している街路灯はほぼありません。コストや耐久性の問題から、電気回路で同様のロジックを実現しています。
    • プログラミング思考的には同じです。
  • 距離センサーでトイレの自動照明や玄関灯を作るのは間違い
    • 「小学校プログラミング教育の手引」に距離センサーを使う事例がありますが、トイレや玄関灯の人感センサーには、距離センサーではなく、赤外線を使った人感センサーが使われています。このセンサーは距離は判りませんが広範囲で人が動いた事(人体から発する赤外線の変化)を検知出来るようになっています。距離センサーは指向性が狭いため、トイレや玄関灯には向いていません。

以上、ご参考になれば幸いです。